※正しい宗教と信仰
・宗教は精神修養に過ぎないのではないか
精神修養とは、精神を練磨し、品性を養い、人格を高めることですが一般には、心を沈め精神を集中することをいうようです。
芸術やスポーツなどを通して精神を磨き、人格を高めるならば、それは立派な精神修養です。
数多い宗教の中には、精神修養の「美名」を看板にして布教するものがあります。
その代表として「禅宗」があげられます。
煩雑（はんざつ）な毎日に明け暮れている現代人にとって、心を静めて精神を集中する機会が少ないためか、
管理職や運動選手の精神統一の場として、あるいは社員教育の場として「座禅」が取り入れられるケースもあるようです。
では、宗教の目的は精神修養にあるのかという点ですが、
精神を統一し心を定めて動じないことを「禅定（ぜんじょう）」とは「三昧（さんまい）」といい、
仏道修行の「初歩的」な心構えとして教えており、これが仏教の目的でないことは言うまでもありません。
また人格品位の修養についていえば、
仏教のなかの「小乗教」では、悪心悪業（あくしんあくごう）の原因は「煩悩」にあり、
煩悩を段滅して身も心も正された聖者になることがもっとも大切であると説き、
「戒律」を護り「智恵」を磨くことを教えました。
これは、二乗（声聞（しょうもん）・縁覚（えんがく））の教えと言います。
しかし、「大乗教」では、自分だけが聖者になっても他を救おうとしないのは狭小（きょうしょう）な考えであり、
思考や感情に誤りのな聖者でも、それだけでは真実の悟りではないと小乗教を排斥（はいせき）し、
自他ともに成仏を目指す「菩薩」の道を示しました。
そして、真実の教え「法華経」では、さらに進めて、
仏が法を説く目的は、二乗や菩薩になることではなく、
一仏乗（いちぶつじょう）といって衆生（しゅうじょう）を仏の境界に導くことに尽きるのである、と教えられたのです。
これを開三顕一（かいさんけんいち）（三乗を開いて、一仏乗をあらわす）といいます。
釈尊は、
「如来は、ただ一仏乗をもっての故に、衆生のために法を説きたもう」
と説かれ、日蓮大聖人も、
「智者（ちしゃ）・学匠（がくしょう）の身となりても、地獄に堕ちて何の詮（せん）か有るべき」
と仰せられているように、仏法の目的は精神修養などにとどまらず、「成仏」、すなわち三世にわたる絶対的な幸福境界の確立にあるのです。
したがって、「禅宗」などで精神修養を売りものにしていることは、教義的に誤っているだけでなく、
仏教本来の目的からも大きく逸脱し、それを民衆に伝えるため民を真実から遠ざける役割を行っているのです。